夏季報
原田夏季
日本人中国語講師。
高校で中国語に出会い、大連へ留学。講師歴は18年。中国語で何か楽しいことができないかと常に考えている。

日本語の「い」と中国語の「yi」

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発端のポスト

まずはこのツイートをごらんください。

「e」や「ü」など、日本語に無さすぎる母音が伝わるレベルになったあとは、「中国語らしさ」や「流暢さ」を目指して、それぞれが中国語の大海原に出発するのですが、そこでまずぶつかりやすいのがこの「yi」。

「yi」が弱いと、どうにも強さがでない音になりがちです。

これは舌を鍛えるしかないのかなぁ、なんて悩んでいた時にしたこのポストが、2年経った今でも心に残っています。

このポストに

『私は日本語の「い」を言う時に舌に力を入れたことがありません』

『唇を横に引いて発音しています』

とのお声があったのです。

これには驚きました。私は日本語の「い」を言う時、唇ではなく舌に力を入れるからです。

そこで、こんな動画を撮ってみました。

突然の顔面ドアップですみません。

この動画では『「あ」の口』と言っていますが、実際の「あ」はもっと口の開け方が小さいので、「口を大げさに開けたまま「い」を言えるか」になりますね。

つまり、どういうこと?

これがきっかけで、こう思うようになりました。

もしかして、口の中の解像度は私が思うよりもずっと個人差が大きいのでは?

「口の中の解像度」というのは、「今、舌がどの位置にあるか」や「舌がどんなポーズをとっているか」を鏡を使わずに察知する力のことです。

口の中のことですから、話している時の舌の動きというのは見えにくいものです。

MRIを使った動画なんかもあるんですが、横からの映像なのでちょっとピンと来なかったり。

少なくともこの動画から分かるのは「日本語を話している時、舌は死ぬほど動きまくっている」ということ。

かくいう私も、中国語を習い始めの時に横から見た舌の図を見ても、さっっっぱり分からなかったクチです。

何がいいとか悪いとかじゃなくて

舌を使うからいい発音、とか、そういう主張じゃありません。

発音を教える者として、どうしても基準になるのが、日本語ネイティブでゼロから中国語発音を学んだ自分自身。

でも、それはもう随分昔の話で。

中国語を話せなかった時代は、記憶の彼方に遠ざかりつつあります。

「舌の位置の説明」というのはできるようになった者だからこそわかる、逆説的なものなのかもしれない。

それを常に頭の片隅に置いておかないといけないな、と思います。

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